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パラダイス・ガラージ – Ufoキャッチャー
高校一年生のクリスマス・イヴに買った。何で買ったのかは憶えていないけど、あの男だけでカラオケなぞに行ってずいぶんと冷えた帰り道の事はよく覚えているし、この曲に出会ったりしなければ良かったのだろうなとも思う。今に連綿と続くやりきれない気分の発露をその帰り道に思い出せる。
持田香織の歌が随分と下手になったと最近評判になっていたけど、そういう人たちにはおそらく届かないんだろうと思うけれども。心がこもってるとかそういうことじゃない、豊田さんにだけ歌える歌なのだということだけに歌の価値があるのだと思う。


乙葉 – おなじ星
乙葉さんがジャングルスマイルをカヴァー。アレンジが整っているし、乙葉さんの歌唱も綺麗なものですっきりしている。一方的に抱いている乙葉さんのイメージ、人間性というものを想起したならばその歌になにかしら思うところがある。オリジナルの方が情感的だし、感情の込められたものになっているけれど、乙葉さんが歌っているということで補足される物語がある。正しい自作をしない人の歌う音楽だと思う。


DJ Spooky – Galactic Funk (Tau Ceti mix)
いたってシンプルなヒップホップのインストだけど、音の質感と音像処理がレトロフューチャーな宇宙観を醸し出している。ストイックなファンク仕事。


Javiera Mena – Yo No Te Pido La Luna
チリのポップアーティスト。
音としては80年代エレポップ。

懐かしい感じとしか言いようが無いけど、バラード曲との落差がすごい。


Har Mar Superstar – Ez Pass (Mint Royale Remix)

馬鹿なんじゃないかな?っていうテンションでポップなメロディを歌う醜男。
このCDを聞いていたら日本語が流暢なドイツ人に「これなに?」と尋ねられ、CDを見せてあげたら裏ジャケットがブリーフ一丁の写真で「こいつモーホー?」ってこれまた流暢に言われたのが面白かった。
過剰なくらい男前に振舞うその姿というのには見習う点は多いし、クオリティの高さにも唸る。
そして泣ける。


Spank Happy – Theme song under the cloudy heavens
ユーロビートほど扇情的で性急でないハウスに幼い女性ボーカルで、キチンと先鋭的な音作りというのはまさに今の流行のような。これが発表された頃に流行しなかったのはフィルターがボーカルにかかってないとかそういうことでなくて、ボーカルの女の子の物語というのが活弁士としての菊地成孔にのみ語るのを許されてたこと。しかもそれがボーカロイドと違って、饒舌でちょっと衒学的に思えるものだったところに、夢想する余地がなかったから。男の子はみんな弱っているから、女の子の血の匂いとかに逃げ出すのかも。みんなそんなにオナニーばっかりしてないのかもね。女の子はみんな意外と肉ばかりを食べ続けられるのに。


椎名林檎 – 虚言症

昔風の言葉遣いで歌ってみたり、自分のセンスを押し切ってみる不思議ちゃんな椎名林檎
その成功と特異性で恐るべき怪童と勘ぐられる節があるが、なんと可愛い女の子よと一度思ってしまうと、腰に手を回したくなることよ。おぉ、愛しいのぉと愛でているうちに裏返ってこちらを飲み込まんとしていたりと一曲の中でもヌルリヌルリと様相を変える。女の子と正対した時と同じ。聞く度に戦いたり頬を赤らめたり、眉尻を下げる箇所が変わるというのも彼女が優れた音楽家であると思えるところ。


Steve Jordan – Hazme Caso
アコーディオンのジミヘン。
ひたすらに牧歌的な三拍子に伸びやかな男女の歌にアコーディオン
なんでこんなに素敵なのだろうと思う三分間。


浜田真理子 – Someday soon
横にいる生活のいつも触れていたい部分を差出してくれる歌。
シンプルな演奏と真っ直ぐな歌にだけそれは起因していなくて、それは歌を歌うということをキチンとしている人にだけ出来ることだと思う。
それに寄り添う演奏を呼び寄せる事が出来るのは、浜田真理子さんが真っ当な音楽家であるということだ。


Billie Holiday – Girls Were Made To Take Care Of Boys

とても可愛らしい歌。
ゆっくりと流れていく時間の中の愛情と恋心を教えてくれます。


Katsen – constellation
何者かは分からないけど、これまた可愛い音楽。
オリオン座ってconstellationっていうのか。
それを知って聞くと見上げたオリオン座が浮かぶのが言葉と音楽の不思議。


Heaco – 10月の朝
斎藤誠作曲の佳曲。
「あなたがいなくても 生きてゆけるわ」とも歌うし「ずっとふたりでいることを 夢見てたことも 忘れるでしょう ひとりきり泣いた 10月の朝」とも歌うのが女性然としていて、わかるようなわからないような女性というものだなと思う。


the pillows – レッサーハムスターの憂鬱
男はと言えばずっと悶々としながら格好をつけていたりして、それを自分で気付かないようにずっとして生きていかなければならない。そうでもしていないと、とてもじゃないけど立ってもいられない。


Toots Thielemans & Elis Regina – Wave
しっとりと流れていく演奏に流麗なボーカル。
そして穏やかな雰囲気の中でも展開していく楽曲は魅力的。
雰囲気ものとして理解しておくにはどうにも大きな音楽。


Heron – Harlequin 2
実は詳しいことは知らないけど、一聴して心奪われたフォークロックの名盤。
ささやかな世界ではあるのだけど、どこか不穏であったりのどかであったりするのが何とも言えない。
きちんと割り切れないのも音楽の好きなところ。


カーネーション – 毒よ目ざめなさい
少しだけネジれた困難を手のひらに載せてヒョイと目の前に差出してくれるのがカーネーション
混乱しているアレやコレをそのままなようでリボンの一つでもつけてくれるのがまた素敵。
どっしりとしたリズムや唐突なサンプリングでその全てを体現する強度は今なお有効。


KraftwerkStratovarius

クラフトワークの1st。
中盤からドラムが入っての高揚感と端正さは、後にここから広がった色々を思わせてワクワクせざるを得ない。
一つも古びない音で音楽の強さがある。
超格好いい。


Nona Reeves – DJ!DJ!〜 とどかぬ想い 〜
ラジオを夜中に一人で聞いてる時はシラフで油断している。
どんな思いをも素直に口に出来るような気分にも、自分が世界で一番瑣末な存在であるようにも思えるし。
そんな気分のために存在する曲だし、全てのラジオで流れるべき曲。